幸福なポジティヴィスト

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山腰修三,2012,「カルチュラル・スタディーズ以降の政治コミュニケーション――批判的コミュニケーション論における「政治」の再発見」

<書誌情報>
山腰修三,2012,「序章 カルチュラル・スタディーズ以降の政治コミュニケーション――批判的コミュニケーション論における「政治」の再発見」『コミュニケーションの政治社会学――メディア言説.ヘゲモニー・民主主義』ミネルヴァ書房,1-15.

目次

序章 カルチュラル・スタディーズ以降の政治コミュニケーション――批判的コミュニケーション論における「政治」の再発見   ⇦いまここ!

第1部 政治コミュニケーションに関する理論的考察

 第1章 能動的オーディエンス論再考――記号論的民主主義をめぐる論争
 第2章 批判的コミュニケーション論の視座転換――ホールのサッチャリズム研究から
 第3章 メディア言説の分析枠組み――批判的言説分析のアプローチ
 第4章 政治コミュニケーション研究の新戦略――ラクラウの言説理論とラディカル・デモクラシー

第2部 日本政治社会における事例分析

 第5章 高度経済成長の論理と「水俣」の言説――1950年代後半の『白書』と新聞の言説分析
 第6章 「新自由主義」に関するメディア言説の編制――「電電公社改革」報道の分析から
 第7章 高度情報社会の「オーディエンス」――テレビ・オーディエンス像の変遷と言説的構築
 第8章 「小泉改革」のテレビ政治とオーディエンス――「靖国参拝」報道の言説分析

終章 政治コミュニケーション研究の展望

あとがき
初出一覧
引用・参考文献
索引

序章 カルチュラル・スタディーズ以降の政治コミュニケーション――批判的コミュニケーション論における「政治」の再発見

〇従来の政治コミュニケーション研究
・一方向的な伝達モデル
→伝達されたメッセージがいかなる政治的効果・影響を与えたのか.マス・コミュニケーション研究との連動.
・政治家,ジャーナリスト,利益集団,一般市民といったカテゴリー間のメッセージの構築,伝達,受容及び効果・影響.
多元主義にもとづく自由民主主義の価値観の肯定.
⇒一定の範囲内の多様性に基づく民主主義

〇批判的コミュニケーション論
・一定の範囲内の多元主義によって導き出される合意形成過程とそれにマス・メディアが果たす役割を権力作用に注目し問題視.
→枠組みから排除されてきた集団の抵抗と参加.
カルチュラル・スタディーズの視座
①コミュニケーションを「意味付けをめぐる対立や抗争」として捉えなおす.
②オーディエンスの能動的読解と読みの多様性を発見
③政治の領域を文化,日常生活に拡大.
代表的なものはスチュアート・ホールの「エンコーディング/デコーディングモデル」
chanomasaki.hatenablog.com

〇新たな問題点の出現
・政治・社会的な秩序の動態のようなマクロの領域をどのように対象化するのか.
・政策過程における争点提示や世論の動員といった政治コミュニケーションの領域に,批判的コミュニケーションは新たな視座を提供できるのか.
・オーディエンスの能動性にもかかわらず,支配的世論はなぜ生みだされるのか.なぜ政治参加につながらないのか.これらの能動性と現代民主主義の問題.

⇒本書ではこれらの問いに対して,3つの視座からアプローチする.
カルチュラル・スタディーズ,②批判的言説分析,③ラディカルデモクラシー論