幸福なポジティヴィスト

アイコンの作者忘れてしまいました。

西山太吉,2014,「融合一体化する政府権力とメディア」

<書誌情報>
西山太吉,2014,「融合一体化する政府権力とメディア」『世界』862: 122-129.

世界 2014年 11月号 [雑誌]

世界 2014年 11月号 [雑誌]

・一般に民主主義の社会では、公的情報の取り扱いに関しては、国とメディアの対立が基本的な構図とされてきたが、今回のような新聞社相互の構想が際立って表面化したケースは、あまり例のないこと。
・朝日叩きのなかには現政権が支配の手段として、反朝日メディアへのリークを活用しているというような事実の連鎖が起こった。これは国による典型的な情報操作である。
問題なのは吉田証言取り消しによって湧き起こった一連の朝日叩きの内容と論議のあり方。
週刊誌における売国奴や謝罪が足りない等の罵倒はいつものことだが、朝日誤報によって「日本国の信用は地に堕ち、国益が大きく毀損された」という非難が高じて、いまや慰安婦問題そのものがなくなったまでといい、河野談話の見直し、はては教科書からの削除といったほどに論議は過熱し、飛躍し始めている。
・支配と被支配の関係。軍の要請を業者が実行に移す時、そこには常に強制性が付きまとうのである。軍の出先機関だったのだから。
朝日叩きの連中が国際信用失墜をアピールすればするほど、より大きな国際信用の失墜をもたらしかねない。