吉田裕,2014,「戦争犯罪研究の課題」
<書誌情報>吉田裕,2014,「戦争犯罪研究の課題」『慰安婦問題を/から考える——軍事性暴力と日常世界』: 49-61.
- 作者: 歴史学研究会,日本史研究会
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/12/13
- メディア: 単行本
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1.戦争犯罪研究の問題構成
・普遍と特殊の問題
日本軍が有していた軍構造としての「特殊性」と戦争犯罪が持っている「普遍性」の両方に視点をおきながら,つねに複眼的なアプローチを維持することが要求されよう.これはまた同時に「特殊性」の中から「普遍性」を導き出す作業を行うことでもある.(田中利幸 1993)
・被害と加害の重層性
→直接的な関係者の被害と加害の関係は入れ替えることができない絶対的なものだが,同時に個別の被害と加害を生み出す総体としての構造があり,その背景を見落とすこともできない.(内海愛子・石田米子・加藤修弘 2005)
→朝鮮人女衒・業者の存在.現場でのプロの役割に目が向けられていない.(安丸良夫 1998)