幸福なポジティヴィスト

アイコンの作者忘れてしまいました。

東日本大震災から9年。岩手県沿岸、釜石市鵜住居にいく。スタジアム・宝来館編

東日本大震災から9年が経過した。

私自身は高校一年生の時に岩手県内陸で地震を経験した。
春休みの補講期間中の帰りのホームルームで猛烈な揺れを経験したことをいまだにはっきり覚えている。

震災から1か月後の4月。陸前高田を訪れたときの生と死の、津波による被災とそうでない地域をハッキリと分ける
がれきの境界線もいまだにはっきり覚えている。そして窓を開けると漂う違和感のあるにおいも。。。

震災以降沿岸を訪れる機会が格段に増えた。
特に陸前高田には何回も足を運んだ。

震災から9年が経過し、無料高速道路も整備されたこともあり、今年は釜石を訪れることにした。
マス・メディアが釜石の奇跡について異様な報道を繰り返していたが、そのことはあまりかんけいない。
まして、ラグビーワールドカップの会場が設置されていることも関係ない。結局試合できんかったのにあれどうすんだ。
そうしたミーハーと思われたくないから言いましたが、あくまで個人的感想です。


2020年3月24日火曜日の記録。
住んでるところから1時間半ほどで釜石北インターでおりて鵜住居に到着。
降りたところから海に向かうと、ありました。
ラグビーワールドカップ2019の会場となった鵜住居のスタジアムが。

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地図

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鵜住居スタジアム

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スタジアム正面の観客席から

天気は快晴!気持ちいい眺め。
しかし、コロナ関係なく当然のことながら誰もいない。
駐車場にはレンタカーを借りて東北めぐりでもしていそうな学生や出張中の公務員と思しき人が3人ほど。あとずっと動画見てる地元にだれか(笑)
きれいな芝でしたが、臨時増設された観客席は取り外され、異様にキレイな観客席。使われなかったスタジアムだけがぽつんとたたずんでいる。

これを映して復興とテロップ付けて満足か?メモリアルジャーナリズムはスタジアム横のがけ崩れ報じていましたか?確認せんといかん。

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めっちゃきれいで杉の木?のいい匂いのするトイレ

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碑が立っていました。

鵜住居スタジアムを後にして向かったのは、
鵜住居にある旅館「宝来館」。

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「縁トランス」さんから借用

宝来館の裏山は津波からの避難場所になったところです。従業員の伊藤さんが撮影した映像が有名。

その裏山はこんな感じ

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あねっ子ブログさんから借用。http://www.iwate-ginpla.net/anecco/2013/03/post-121.html

裏山を登っていくと立ち入り禁止の立て札とロープが。頂上まで登ることができません。

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道もボロボロでした。f:id:chanomasaki:20200327154120j:plain

残念な気持ちで下に降りると運よく従業員の方とお話しできました。

どうやら2019年の台風で土砂が流出したことが原因だそうです。(知らなかった)
現在はクラウドファンディングで資金を集め、2020年度から復旧にあたるそう。

ぜひご協力を!
camp-fire.jp


mainichi.jp


雑感。
学校での防災教育が叫ばれる。津波の記憶の継承が叫ばれる。
自主的な避難のほかに、ハザードマップなど災害が発生しやすい地域を明らかにするなど、地域の再分析が防災という観点から行われている。
こうした動きはブラタモリに象徴されるような、「地域の隠れた魅力(危険)」を再認識する流れと軌を一にしている。
スタジアムの裏山の土砂くずれ、宝来館の裏山の土砂流出をみると、本当に現代人は自分たちの住む土地についての知識を失っていることを痛感する。
宝来館の裏山が津波から人々の命を救ったことは事実だ。しかし、それは宝来館の裏山があらゆる災害から身を守る最適地であることを意味しない。
おそらくだが、台風の旅に宝来館の裏山は少量だとしても土砂の流出がこれまでもあったのではないか?どうも津波の記憶に縛られ、防災を軽視した避難道の建設であるように思えてならない。
もし、いま同規模津波が来たら、宝来館の裏山は避難所として機能するのか?いやしない。スタジアム横の避難道は機能するのか?いや、これもしない。

復旧を進めるのは大事だ。しかし、今回救ってくれた避難場所が同様に機能するわけではないし、津波以外の災害に脆いという側面にも気を付けなければならない。

この雑感は外部からの突然の闖入者の意見であり、地元を軽視したものであるといわれても、反論できない。

津波の記憶の継承は何か別の可能性を否定しているように思えてならない。