幸福なポジティヴィスト

アイコンの作者忘れてしまいました。

和田春樹,2016,「安倍首相の謝罪は終わっていない――日韓外相会談による「合意」について考える」

<書誌情報>
和田春樹,2016,「安倍首相の謝罪は終わっていない――日韓外相会談による「合意」について考える」『世界』880,176-184.

○合意の内容について
①謝罪の内容
運動団体が望むような被害事実の認定を含めることはまったく受け入れていないが、「道義的な責任」という表現ではなく「日本政府は責任を痛感している」としたことは重要な進展と評価。

②日本政府拠出の10億円
運動体が求める賠償は法的な罰としての支払いではなく、政府予算からの支払いを意味している。人道的な措置という表現がなかったことは評価するも、10億円拠出の理由の説明がしっかりと行われていないので明記すべきである。

③最終的かつ不可逆が意味するものとは何か
慰安婦問題の解決は、単なる日韓外相の共同発表によって、なされることはありえない。

④和解が行われて初めて慰安婦像が撤去されるのであって、それを日本側が求めることは非合理である。

○反応
日本の運動体は不十分ながら一定の評価を与えた。
韓国の運動体は強く反発。与党、学界、メディアの一部では合意を指示する動きが出ており、韓国内で世論の分裂が見られている。
日本保守陣営は概ね安倍首相の裏切りとしており、一部政治外交的に評価するものもいる。

合意に基づく謝罪の意をしっかりと表明する必要がある。