幸福なポジティヴィスト

アイコンの作者忘れてしまいました。

林博史「陸軍慰安所管理の一側面」

<書誌>
林博史,1993,「陸軍慰安所管理の一側面——「衛星サック」交付資料を手がかりに」『季刊 戦争責任研究』1: 12-19.


1.はじめに
・「衛生サック」(コンドーム)の「交付」「追送」に関する資料が発見された。コンドームがどのような手続きを経て各部隊に交付されたのか。
・『陸亜密大日記』、『陸支密大日記』の昭和17(1942)年分。

2.陸軍中央の整備計画
・「昭和17年度陣中用品整備数量調書 整備部隊 陸軍需品本廠」―「一、陣中事務用品」「二、灯火用燃料」「三、防疫材料」「四、日用品」「五、陣営具」とあり、この防疫材料の項目に「衛生サック」、1530万個とある。
・外地兵力170万人と推定すると、一人当たり年間11個強、つまり一カ月に1個という計算で「衛生サック」の整備計画があった。

3.指揮命令系統
・各軍(総)参謀長から陸軍中央に請求、そしてその逆で交付。各軍から軍組織にならい末端の兵まで。

4.「衛生サック」交付先の地域

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「衛生サック」交付の地域別一覧

5.おわりに
陸軍省大本営陸軍部の陸軍中枢が「衛生サック」交付を行っていた。
・「衛生サック」の交付はむやみやたらに送られたのではなく、陸軍中央が慰安婦の数や配置情報を把握している可能性が高い。
・衛生サック交付数から慰安婦に関する情報が明らかになる可能性がある。
→林の推量によれば、数十万人。