幸福なポジティヴィスト

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長田由美「フィリピンにおける元「従軍慰安婦」調査報告」

長田由美,1993,「フィリピンにおける元「従軍慰安婦」調査報告」『季刊 戦争責任研究』1: 47-50.


1.はじめに
・本論文の下となる調査の時点で、「従軍慰安婦」ないし類似ケース68件、強姦ケース37件、拷問のケース2件の連絡が寄せられていた。従軍慰安婦とは駐屯所や慰安所などに連行されて継続的な強姦を受けた被害者を指し、レイプとは監禁等を受けない一過性の強姦を意味する。
・フィリピン国内の先行研究やまとまった資料はなかった。フィリピンにおける戦中の女性に関する研究は、「暴行を受けた」や「ゲリラ参加」といった単純な記述しかなく、日本と同様に研究の遅れを認識した。

2.聞き取り内容
・26人の聞き取りの中からいくつか。

・強姦ケース
→協会に連れていかれ、女性が日に日にレイプを受ける。米軍到着前夜に解放。

・「従軍慰安婦」ケース
日本兵に拉致された後連行。監禁され、性病検査などもされながら長期間。

・拷問ケース
夫がゲリラに加わったということで拷問の中でレイプ。

3.おわり
・監禁され、継続的に強姦されるという形でないにせよ女性たちの置かれた様々な境遇。
慰安婦とレイプを分けて論じる意味がないのではないかと強く思わせるほど、区別ができるのかというほど、「戦時性暴力」という言葉がふさわしく感じる事例である。強姦からの継続的な使役。長期的な使役に至らないだけの話ではない?