幸福なポジティヴィスト

アイコンの作者忘れてしまいました。

N, Fairclough, Chapter1 "Media and language: setting an agenda" MEDIA DISCOURSE

<データ>
Norman, Fairclough, 1995, Chapter1 "Media and language: setting an agenda" MEDIA DISCOURSE, 1-19
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〇課題
・1990年代初頭に起きたいくつかの事例が示すように、本書の中心的なテーマは、「マス・メディアの権力/the power of the mass media」である。
→知識、信条、価値観、社会関係、社会的アイデンティティに影響を与える「権力/the power」は、言葉がどのように使われるのかという問題にかかわる。

・本書の目的は、以下の3点である。
(1)「メディア言語/media language」を分析するための枠組みを提示すること。
→言説(言語の使用を社会的実践の一様式としてみなすという意味で)という観点で、マス・メディアを言語学的に分析する。
(2)メディア言語を分析することは、現代の社会的・文化的な変動のプロセスを研究する上で、重要な要素としてみなされるべきである、ということを示すこと。
(3)メディア権力の言語学的で言説的な性質を強調すること。

→いわゆる「public affairs media」を対象として、1992年から1993年の間の膨大な量の資料を駆使しながら議論を進めていく。

〇本章の目的
・4つの例をもとに、本書の主な関心を示し、後半では、より理論的な議論の基礎を築く。

事例分析1.BBC『Panorama』の「船舶輸入された使用済み核燃料の再処理」に関するニュース
・リポーターは「事実」を知るもので、「告げる権利/the right to tell」をもつものとして措定され、それが、カメラを通してオーディエンスに直接語りかけるという「映像」の効果とともに作用し、権威性を帯びた存在として措定される。
⇔「受け手/the audience」は、受身的存在として措定される。
・ 「レポーター=メディア・アーティスト」が、「視聴者=消費者」を楽しませるという関係性。
→「漂うチェルノブイリ」というメタファー、船舶による輸送を「航海」といった形で「物語/narrative・story」化することで、エンターテイメント化。
・どのような「表象/representation」であれ、私たちは、そこに何を含み、何を排除するのか、あるいは何を「前景化/foreground」し、何を「後景化/background」させるのかを決定しなければならない。
→deadly, dangerous, toxicという形容詞を使うことで、危険性を警告する意味を付与し、ネガティブで、批判的な観点をつくりあげる。
⇒「公正に」情報を伝えるものとしてのレポーターと、センセーショナルに楽しませるエンターテイナーとしてのレポーターとの緊張関係が、現代のメディアに広く存在することを示している。

事例分析2.ITV『This Week』の「自警団/Vigilate」に関するニュース







〇言説の用語法
・「言説/discourse」という用語は、様々な分野で広く使われている。
(1)言語研究
・社会的行為と相互作用としての言説。
(2)ポスト構造主義の社会理論(特にM・フーコーの研究)
・現実世界の社会構造、知識の一様式としての言説
・Faircloughの言説
①言語の人間相互間の機能とジャンルの概念と密接に関係する。
②言語の観念的な機能と言説(単に「語られたもの」としての言説に加えて、1つの「カテゴリー」や「ジャンル」といった意味での言説)と密接に関係する。








・テクスト分析は、言説実践と社会文化的実践の分析から孤立して扱わない。