幸福なポジティヴィスト

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堀山明子,2014,「カリフォルニア「慰安婦」少女像の波紋」

<書誌情報>
堀山明子,2014,「カリフォルニア「慰安婦」少女像の波紋」『世界』857: 254-262.

世界 2014年 06月号 [雑誌]

世界 2014年 06月号 [雑誌]


2013年7月30日、グレンデール市の韓国姉妹市協会が寄贈を申し入れ、市議会の賛成多数で「慰安婦」少女像が設置されることが決まった。
2014年2月20日、「歴史の真実を求める世界連合(GAHT)」がロサンゼルスの連邦地裁に「慰安婦」少女像設置反対を求める提訴をしたという記者会見があった。
グレンデール市の慰安婦像設置は日韓間の論争に介入したものであり、連邦政府に外交権限を付与した米国憲法に反するというもの。
⇒日韓で論争が続く慰安婦像の設置は地方自治体の「表現の自由」か、米連邦政府の外交特権侵害かが争点となる。

設置前の市議会論争
反対派の論点は、主に慰安婦の理解に関する不正確さを正そうとするものであり、また、設置が日韓の外交問題に関与することになるとして批判するものであった。賛成派は、日韓の歴史論争を避け、普遍的な人権問題として、その今日的意義を強調した。

慰安婦像設置に反対する日系人
日系米国人は①1900年前後から第二次世界大戦前までに米国に渡った移民の子孫②第二次世界大戦後に渡米し、多くが日本国籍を維持したまま米国の永住権を持ち、日本語を話す「新一世」だが賛成が①、反対が②に多い。また、賛成派は過去の戦争を正当化する日本人より、戦争被害者である韓国系に共感するらしく、歴史問題で海外系移民と本国が団結する韓国との相違があり、日韓だけのギャップだけではなく、日系人と日本人のギャップを明らかにした。
賛成する日系人は、日系人収容所を例に謝罪と補償、そして歴史を語り継ぐ遺産によって名誉回復が行われたとし、同じ対応を日本政府に求めた。

訴訟に反発する団体は、「慰安婦像撤廃の要求は、慰安婦だけではなく女性全体に対する攻撃であることから拒否する」といったものや彼女らを売春婦呼ばわりする人権意識に反発する意見があった。売春婦は被害者であるというのがマイノリティにおけるコンセンサスである。


日本人の地域活動は慰安婦像に反対するだけなのか。という疑問がある。