吉見義明,2016,「真の解決に逆行する日韓「合意」——なぜ被害者と事実に向き合わないのか」
吉見義明,2016,「真の解決に逆行する日韓「合意」——なぜ被害者と事実に向き合わないのか」『世界』879: 125-131.
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2016/02/08
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①責任を負うべき主体の認定があいまいなままである。
慰安婦問題で責任を負うべき主体は軍と政府であり、業者が使われる場合はあくまで手足として用いられた。
しかし、安倍首相は軍の関与としてその責任は業者にあるとする。合意後に第一次安倍内閣の閣議決定に変更はないとしていることから、河野談話よりも認識は後退している。
②性奴隷制否定。
現代の奴隷制の定義上、慰安婦は性奴隷と認定されており、それは徴募の形態とは関係なく立証される。国内公娼制度でさえ、奴隷制度と見られており、慰安婦もなおさらである。
③賠償ではない。
賠償ではなく、日韓請求権協定での従来の見解は維持されている。
④真相究明措置と再発防止措置は何も実施されない
⇒河野談話よりも後退。
⑤加害側の要求を突き付けすぎ
最終的な評価
日韓両政府が被害者を抑圧して、解決したことにするという強引なもの
「提言」を受け入れた解決をすべきである。